昨今、技術的な革新が進み、社会はどんどんと便利になっています。その流れに伴い、歯科業界にもDX（デジタルトランスフォーメーション）の時代が到来しています。当院では、iTero Element(アイテロエレメント、以下アイテロ)という、最新の光化学式口腔内スキャナーを導入しています。現在、歯科医療現場で使用されている3Dスキャナーはいくつか種類がありますが、その中でもマウスピース矯正（インビザライン）治療のための型取りにも対応しているのは、このアイテロのみとなっています。アイテロはインビザライン治療においてとても重要な役割を果たしています。
この機器を導入したことで、患者様にとって多くのメリットが生まれ、より円滑な治療を行うことができるようになりました。ここでは、アイテロが患者様にとってどのようなメリットが生まれたのか説明させて頂きます。
精密な型取りができる
アイテロは1秒間に6000枚もの写真データが取り込めるため、アナログの型取りとは比べ物にならないくらいに精密な型がとれます。その結果、フィット感に優れたマウスピースができあがるため、歯の移動もスムーズに行われます。
この精密さはインビザライン治療だけでなく、被せ物や詰め物にも応用されています。
皆さんは二次カリエス（二次むし歯）という言葉をご存知ですか？治療した場所が再度むし歯を再発してしまうことなのですが、その原因のひとつとして、歯と詰め物のすき間からの細菌の侵入があります。つまり、二次カリエスを防ぐためには、精度の高い詰め物や被せ物が必要になることはお分かりいただけるかと思います。
詰め物の精度を高めるためには、この型取りや模型の精度も高くなければダメだということも想像できますよね？その精度は、型取りをするスタッフの技術も去ることながら、型取りで用いる材料によって精度が大きく変わってきます。この精度の指標を専門用語で「歪み（ひずみ）」といいます。保険外の被せ物や詰め物の型取りには、主に「シリコン印象材」が用いられます。シリコン印象材のひずみは、保険の被せ物や詰め物の型取りで使われる「アルジネート印象材」よりも少ない＝精度が高いのですが、そのシリコンよりも精度が高いのがアイテロによる光学印象になります。シリコンによる型取りで完成した被せ物とアイテロで撮影したデータを利用して完成した被せ物の精度とを比較すると、その精密さは明らかです。今までより精密な被せ物や詰め物の作製が可能になり、より患者様にご満足いただける治療を行うことができております。
※アイテロで撮影して作製する被せ物や詰め物は、ジルコニア系の材質を使った材質に限られます。その他の詰め物や被せ物に関しては従来通りの材質を使用して型取りをさせて頂きますのでご了承ください。
型取りが苦しくない
型取りの際、ドロドロした粘土のような材料を入れて、気持ち悪くなったことはないですか？この現象を「嘔吐反射」と言います。また、嘔吐反射がなくても、型取りに慣れていないお子様の治療において、型取りを行うことは容易なことではありません。以前は、お子様の矯正のために型取りをさせて頂いておりましたが、上手く型取りができずに装置が適切な形で作ることができなかったり、それが原因で矯正治療自体を行うことができなかったりする患者様がいらっしゃいました。アイテロを使うことで、口の中に材料を入れることがなくなるので、型取りの際に嘔吐反射がでることがありませんし、型取りに慣れていないお子様の治療にも最適です。今まで上下の型取り、咬み合わせの型取りで10分以上かかっていた時間も、アイテロを使って型取りをすると、3～7分程度で完了します。従来のような苦しい型取りのストレスから解放されますので、嘔吐反射でお悩みの方にもオススメです。
治療スピードが上がる
今までは、粘土のような材料で型取りしたものを、海外にあるインビザラインを作製する製作所に送っていました。そのため、製作所に届くまでの期間が長くかかっていました。このアイテロを利用すると、アイテロでスキャニングした口腔内データを制作所にオンラインで瞬時に転送することができるようになったため、通常よりも10日近く短い期間で治療に使用するマウスピースが作製できるようになりました。
また、当院では3Dプリンターも導入しておりますので、アイテロでスキャニングしたデータをそのまま3Dプリンターに転送して、患者様の模型や保定のマウスピースを作製することも可能になりました。より精度が高い模型の作製、よりスピーディーな保定のマウスピースの作製が可能になったことで、型取りや模型作製の失敗で患者様に再度型取りに来院して頂くケースや保定のマウスピースの作製に数週間の期間を要し、その間に歯が戻ってきてしまうというケースがほとんどなくなりました。
体にも安心
アイテロは放射線を一切使用していないため、レントゲンによる放射線の影響が心配なお子様や妊婦さんに使っても全く悪影響がありません。また、お口の中に入れるスキャナーの先端部分（スリーブ）は使い捨てのもののため、1度使用したら使い回しをせずに交換します。そのため衛生面も心配ありません。
見えない虫歯や歯石が分かる
当院でも導入している最新型の「iTero5D」には、従来型のアイテロに備わっている口腔内スキャン機能に加え、近赤外線を用いた「近赤外光画像技術」が導入されました。近赤外線は電磁波の一種で、人間がみることのできない光で、可視光より長い波長です。近赤外線は色や熱に対しての特徴はありませんが、物体に最も吸収されやすいです。また、この近赤外線は太陽光にも含まれる安全な光です。この近赤外線を含む光を被写体に当てると、被写体（肌、水分、青果、医薬品、包装や電子部品）の物質の違いにより、光の反射や吸収する特徴の違いが画像として映ります。現在、農産物の鮮度判定、食品の異物混入検査、医薬品成分分析、生体組織検査・観察を含めた医療分野等に応用されています。この特性を利用して歯をスキャニングすることで、目では確認できない歯と歯の間の虫歯や内部に広がっている虫歯、見えにくい部分の歯石といったものも発見することができ、レントゲン撮影を行わずとも検診をより正確に、より安全に行うことができます。
矯正治療のゴールが分かる
ワイヤー矯正の場合、治療した後の歯並びがイメージしづらいという点がありますが、アイテロで取ったデータを専用のシミュレーションソフトに送ることで、スクリーン上で治療中の歯が動く様子や、治療終了イメージをあらかじめ見ていただくことができます。過去の膨大な治療データより、治療の期間予測も正確にできますので、将来の計画が立てやすくなる点は、患者様にとっても、治療を行う我々にとっても嬉しい点です。また、ゴールだけでなくその場で簡単なシミュレーションをご覧いただくこともできるので、矯正治療を始めるかどうかの判断材料としても役立ちます。
矯正治療の進捗状況が分かる
アイテロで撮影したデータを利用して、当初の治療計画と現在の進捗状況に差がないかを確認することができます。それだけでなく、治療開始前のデータと最新のデータを比較することで、どれだけ歯が動いたかを確認することも可能なので、矯正治療の効果をより御実感頂くことができます。
このようにメリットがたくさんあるアイテロですが、実際に日本でインビザラインを扱っている医療機関の数％でしか導入されていません。当院では北海道内でもいち早くアイテロを取り入れ、患者様のご満足を追求してまいりました。ここまでの話を聞くと「インビザライン治療って、結局機械が全部作っているんですね」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、治療内容に適した最新鋭の設備をフルに活用することは必要だと考えます。しかしながら、我々はただ単にスキャニングデータを海外の製作所に転送し、完成したマウスピースを装着してもらう治療をしているだけではありません。
インビザラインの制作に欠かせないと先ほど申しましたが、患者様のご要望にお応えするためには、確かな技術・経験はもちろん、スキャンデータをもとに、これまでの経験をふまえ「この歯の動きはデータ通りにならない可能性があるので、ここはこう動かすべきだ。」と機械が導きだした予測に対し、補足を加えます。これが治療を行う上で最も重要なポイントを担っており、「インビザラインはドクター次第」と言われる理由でもあるのです。
当院の理事長は自ら多くの患者様の治療計画の設計を行い、「インビザラインダイヤモンドドクター」の称号を所有しております。これは国内最高レベルの治療数（年間151名以上）に対するメーカー評価であり、北海道では、わずか数院のみとなっております。
当院のインビザライン治療のご相談は無料となっておりますので、経験豊富なドクターにぜひ１度ご相談ください。
